全日本F3000

CABIN:F3000 Rd.7富士プレスリリース

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1991年全日本F3000選手権                1991年8月14日
RACE INFORMATION                              キャビン・レーシングチーム事務局
    第7戦「日本信販スーパーカップRd.3 富士チャンピオンズ」
            ワンツー・ワンツー
     星野2勝目。キャビンアロー、シリーズをリードする
     星野一義 予選A組1位 決勝優勝
     片山右京 予選B組2位 決勝2位
 1秒722の差で2台のキャビン・アローが相次いでチェッカー・フラッグ
を受けた。先頭の星野一義は右手を振り上げる。サインガードに鈴なりになっ
たピットクルーは歓喜でそれを迎えた。
 星野の背後には片山右京がいた。片山は現在、ディフェンディング・チャン
ピオンであり大先輩でもある星野を、シリーズポイントでリードしている。星
野が挙げた2勝目で王座争いは星野・片山の一騎打ちの様相を強めてきた。こ
れで2勝ずつとなった2台のキャビンアローは、シリーズの流れを握り栄光へ
向けて大きく加速したのである。
 1991年全日本F3000選手権・第7戦「日本信販スーパーカップRd.3
富士チャンピオンズ」が、8月10日(土)11日(日)静岡県・富士スピードウ
ェイで開催された。キャビン・レーシングチームは、このレースに星野一義、
片山右京の陣容で参戦した。
<体制>
 キャビン・レーシングチームwithインパル
  ドライバー:星野一義
  監督   :金子 豊
  マシン  :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限)
 キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
  ドライバー:片山右京
  監督   :田中 弘
  マシン  :ローラT90-50/DFV(Tカー ローラT91-50/DFV)
<マシン>
 星野はローラT90-50/無限、片山はローラT90-50/DFVを用
いる。両者とも、第6戦で用いたシャシーである。高速コースである富士スピ
ードウェイに向けて、両者とも低ドラッグ仕様のウィングを取り付けている。
<公式予選>
 公式予選日を迎えた朝、富士スピードウェイには霧が立ちこめた。天気予報
では天候の悪化が予想されており、コンディションの読みが公式予選における
大きな要因となった。しかし、公式予選A組第1回目のセッションが始まる頃
には霧も晴れ始めた。多くのチームはコースオープン後もピットで待機してコ
ンディションの推移を見守る作戦に出る。
 星野が1セット目のタイヤを装着してタイムアタックに出撃したのは、セッ
ション開始後15分を経過した頃。彼はこのアタックで1分17秒762のベストタ
イムを記録する。星野はさらにセッション終了直前に2セット目のタイヤを履
き、2回目のタイムアタックにかかる。第1コーナーで前を走るマシンにひっ
かかりながら、星野は1分17秒401を記録、彼自身のタイムをさらに短縮して
みせた。
 一方、公式予選B組から出走の片山は、コースオープンされた直後にコース
イン、タイムアタックを行なった。しかしタイムは1分17秒854と伸び悩む。
彼はピットに戻ってフロントサスペンションの調整を行ない、セッション終了
前に2セット目のタイヤを装着して再びタイムアタックにかかった。記録は1
分17秒354。すでにマウロ・マルティニ選手が記録していたベストタイムには
惜しくも届かず、片山はB組2位で1回目のセッションを終えた。
 午後に行なわれた2回目のセッションで、星野と片山はすでに1度タイムア
タックに用いた予選用タイヤを履いてタイムアタックを行なったが、双方とも
午前中のタイムを更新することができず、結局午前中の順位のまま公式予選順
位は決定することとなった。
星野 一義:1分17秒401 A組1位
「クルマの調子は抜群にいい。最初のセッションでは路面が荒れていたし、天
候がどう変わるかわからなかったので慎重になった。2回目のタイムアタック
では気合いが入っていた。でも1コーナーで、前のマシンにひっかかってしま
ったんだ。そこでアタックを切り上げて、もう一度やり直そうかとも考えたん
だけど、行っちゃえ、と思ってそのまま突っ込んで頑張った。ポールが取れな
かったのは残念だ。タイヤの使い方という意味では作戦ミスだったかもしれな
い。でも、フロントローなら十分だね。決勝では気持ちのいいレースができる
と思う。なにがなんでもここで勝って、王座を守らなければ」
片山 右京:1分17秒354 B組2位
「路面コンディションや気候が、テストの時と変わってしまった。それがマシ
ンのバランスに影響を与えかも。と、言ってもその差はごくわずかなものなん
です。でも今のF3000は実力が伯仲しているから、わずかな差がこういう結果
になって現れてしまう。自分が自分で、もどかしいですよ。でも2列目なら十
分。明日は目の前にいるクルマを全部抜くつもりでいきます。ポイントランキ
ング首位の座を守ることよりも、攻めることを心がけますから」
<決勝レース>
 決勝日の天候も不安定だった。そのため、決勝レース直前に行なわれた7分
間のウォームアップ走行は、各チームにとって最終的なセッティングを見直す
ための重要な局面となった。星野はこのウォームアップを通して、決勝レース
ではハード・タイヤを使うことを決意した。しかし、そのタイヤのフィーリン
グを確かめるためにコースインしようとしたとき、コースはクローズされた。
コースに出られなかった星野は、タイヤのフィーリングを確かめることも新品
タイヤの皮むきをすることもできないまま、決勝を迎えなければならないこと
になってしまった。
 決勝レースのスタートで、星野は好ダッシュを見せて1コーナーまでに先頭
を奪った。2列目内側の片山はスタートに失敗したマルティニ選手をかわしな
がら星野の背後につき、1コーナーへ突入する。
 ところが1コーナーへのブレーキングで星野は、姿勢を大きく崩してしまっ
た。星野の背後につけていた片山はそれを避けようとしてコース外側に逃げる。
しかし、そのスキに後方のチーバー選手にかわされて3位へと後退。さらに2
周目の同じ1コーナーではヴァイドラー選手、ダニエルソン選手にかわされて
5位となってしまった。片山にとっては苦しい幕開けとなった。
 姿勢を崩したものの星野はうまくマシンをたてなおし、首位のまま1周目を
走り終えた。その後は星野の独壇場だった。周回毎に星野は2位以降を引き離
して独走状態に持ち込む。
 一旦後退した片山は、徐々にペースを上げて5周目にダニエルソン選手を、
9周目にはバイドラー選手を抜き去る。同じ9周目にチーバー選手がトラブル
で脱落したため、片山はようやく星野を追う2位のポジションに進出を果たす。
このとき両者の間隔は6秒7。片山は間隔を詰めようと1分19秒台のハイペ
ースで追走するが、星野はそれを受けてまた間隔を広げる。二人の差は7秒前
後を保ったまま、終盤まで格闘を続けた。
 終盤になって、星野はタイヤの消耗を考慮して若干ペースダウン。そこに片
山が攻めより、間隔を縮めだす。片山は最終ラップに1分19秒111のファス
テストラップで最後のスパートをかけた。しかし星野は片山を1秒722の差
で抑えきり、今季2勝目を挙げた。星野はトップフォーミュラ116レース目。通
算36勝目の栄光である。
 星野と片山はワンツー・フィニッシュでシリーズ第7戦を飾った。星野は9
点、片山は6点を追加して、シリーズポイントランキングでは片山・星野がこ
れもまた僅差でワンツー・フォーメーションを堅める結果となった。2台のキ
ャビン・アローはワンツー体制を布いてシリーズ制覇に向けて突進している。
星野 一義: 59分58秒828  優勝
「このところいい結果が出ていなかったから、このレースは勝たなければなら
なかった。スタート直前にタイヤを履き換えたものだから、1周目はタイヤが
温まりきってなかったんだ。それで1コーナーでバランスを崩した。ヘアピン
くらいまで走って、ようやくフィーリングがつかめたので、それ行け、と頑張
った。後半、フロントタイヤを消耗させてしまったのでアンダーステアが出て、
ペースが上げられなかったんだけれど、十分な差があったので慌てないでいら
れた。本番では右京が怖いと思っていたけど、予想通りの展開だったね。でも
このままじゃおさまらないよ。ここで一つ勝ったくらいじゃね」
金子 豊監督
「レース直前で、タイヤを選択し直した。それで少しドタバタしてしまったね。
使ったのは、これまでテストもしなかったくらいのハード・タイヤ。コンディ
ションを見て、そのタイヤでなければ無理だ、と決断した。スタート直前でド
タバタしたツケがきたな。十分なテストをしていなかったし、レースのペース
が予想よりも1秒近く速かったものだから、レース終盤タイヤを消耗させてし
まった。ドタバタして浮足立ったことについては深く反省しています。でも今
後は自信があるよ。シリーズがおもしろくなった? おもしろいんじゃ困るん
だ。こっちは早く楽になりたいんだから」
片山 右京: 1時間00分00秒550  2位
       ファステストラップ1分19秒111(45周目)
「星野さんが、スタート直前に新品タイヤを履いたのを知っていたから、スタ
ート直後の1コーナーはチャンスだと思っていた。でも、目の前で星野さんが
バランス崩したものだから、慌ててコースの外側に逃げて後ろからチーバー選
手に抜かれてしまった。しかも、そのときフロントタイヤにタイヤカスを拾っ
たのか、アンダーステアが出てしまいペースがあがらなくって、2周目には2
台に抜かれてしまいました。抜き返すのに手間取ったのが痛かったなあ。マシ
ンの調子はバッチリでした。ストレートも速かったですしね。それだけに惜し
かったなぁ。悔しいです」
田中 弘監督
「シリーズチャンピオンの事を考えると、このレースは非常に重要だった。結
果論になるけど、予選でフロント・ロウに並べなかったのが痛かったね。今回
はマシン、エンジンもほぼ完璧な状態だった。タイヤは45周攻めても大丈夫
なものを選んだし、ギヤリングも前車をオーバーテイクできるものにした。だ
から、右京に思い切っていけ、と言った。しかし、スタート直後の1コーナー
では、もう少しやり方があったとは思うな。あそこでアウトに出ずに、インを
突いて行ったら勝てたレースですよ。でも、これで富士での速さは確認された
ね。次の鈴鹿のテストでは徹底的にT91を煮詰めようと思っている」
**CABIN Racing Team Office/寺倉茂雄**


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