<<<< CABIN Racing Team Press Release ================================= 1991年全日本F3000選手権 1991年7月31日 RACE INFORMATION キャビン・レーシングチーム事務局 第6戦「日本信販スーパーカップRd.2 SUGOインターフォーミュラレース」 王座へ向けシリーズ折返し 5人目の勝者が現れ、王座争いは膠着状態に 星野一義 予選A組6位 決勝リタイヤ 片山右京 予選A組2位 決勝6位 モニターTVに、サンドトラップに捕まったゼッケン1、星野のマシンが映 し出された。ファステストラップを叩き出し、さらに上位を狙おうとした矢先 の出来事であった。同じ頃、片山もニューカマーの激しい追撃に、必死の防戦 体制だった。 1991年全日本F3000選手権・第6戦「日本信販スーパーカップRd. 2 SUGOインターフォーミュラレース」が、7月27日(土)、28日(日) 宮城県・スポーツランドSUGOで開催された。キャビン・レーシングチーム は、このレースに星野一義、片山右京の陣容で参戦した。 <体制> キャビン・レーシングチームwithインパル ドライバー:星野一義 監督 :金子 豊 マシン :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限) キャビン・レーシングチームWithヒーローズ ドライバー:片山右京 監督 :田中 弘 マシン :ローラT90-50/DFV(Tカー ローラT91-50/DFV) <マシン> 星野はローラT90-50/無限、片山はローラT90-50/DFVを用 いる。星野は、MINEサーキットでの第4戦で使い慣れたローラT90-5 0を大破した。前回のレースにはこのマシンを修復して参戦したが、今回は新 たにT90-50のモノコックを購入してマシンを一新した。 片山は、このレースでデビュー予定だった新開発吸気系システム「HIT& HITシステム」搭載の新仕様DFVの実戦投入を行なわず、従来通りの仕様 のマシンを使用した。 <公式予選> 星野、片山ともに公式予選A組からの出走。第1回目のセッションが始まっ たとき、スポーツランドSUGOは薄曇りであった。しかし、セッション開始 前に行なわれたサポートレースの予選中に、競技車両がボディ破片やオイルを 路面に撒いたため、路面コンディションは悪かった。 星野は一旦コースインするが、路面状況を見て待機に入った。タイムアタッ クは45分間のセッション終了間際、路面状況が好転してから行なった方が有 利だとの判断だ。片山は当初からピットで待機、セッション開始後30分によ うやくエンジンを始動してコースに飛び出した。1セット目の予選用タイヤで のタイムアタックの結果は1分9秒820。この時点でのベストタイムである。 星野はセッション終了まで15分を切ったところでコースイン、タイムアタ ックにかかった。しかしタイムは1分10秒857と伸び悩む。星野は、午後か らのセッションに望みを託して予選を打ち切り、コクピットを降りた。この間、 ロス・チーバー選手が片山のタイムを上回るタイムを記録。片山は1セット目 のタイヤを冷却して再度タイムアタックにかかるが、記録更新はならなかった。 午後、天候は急速に好転し、気温と路面温度が上昇。2回目のセッションは さらにコンディションが悪化してしまった。星野は2セット目のタイヤで1分 10秒556をマークするが、1回目の予選でタイムアタックを行わなかった中谷 選手が1分10秒175をマークしたため、順位を上げることはできなかった。ま た片山もタイムを更新することができないまま、公式予選を終えることとなっ た。 星野一義:1分10秒522 A組6位(総合11位) 「1回目のセッションではソフト目のタイヤを使えばよかったんだが、ぼくの 判断でハード目のものを選んだ。ところが、コースはサポートイベントの影響 で荒れていて、タイヤが本来の性能を発揮できなかった。今になって思えばこ こで判断ミスをしてしまったんだ。午後のセッションで2セット目のタイヤを 使ってタイムアタックをやり直すつもりでいた。ところが今度は気温が予想以 上に上がって、しかも夕方になっても下がってこないものだから、タイムを思 ったほど縮めることができなかった。とにかく今日の予選は完全に作戦ミスだ ね。去年は予選17番手から3位になったんだっけ。今年もあきらめないで頑 張るつもりだよ。できれば雨が降ってくれるといいんだがなあ」 片山右京:1分09秒820 A組2位(総合3位) 「午前中のセッション、ミディアムでいこうかソフトでいこうか迷ったんです よ。で、これまで蓄積したデータを元にミディアムを選択した。それなりの記 録は出たと思いますよ。チーバーのタイムはソフトを2セット使って出したも のでしょう。ぼくはタイヤを1セット温存しておいたから、十分に逆転できる ものと思っていたんです。データでは、午後3時頃になれば気温が下がるはず だったんだけど、でも今日は温度が上がりっぱなしだった。これが厳しかった です。しかも、タイムアタックのためのウォームアップのとき、タイヤを消耗 させすぎるというミスを犯してしまった。逆転ポール奪取ができなかったのは、 ぼくの責任です」 <決勝レース> 決勝日のスポーツランドSUGOには早朝から真夏の太陽が照りつける。各 チーム、午前中のウォームアップ走行の時間を使って、タイヤの選択を含めた 決勝セッティングを探った。 スタートが3回やりなおされた昨年のレースとは一転、今年の決勝レースは 混乱なく始まった。ポールポジションからスタートしたチーバー選手を先頭に、 各マシンはほぼ予選順位に並んで1コーナーを通過、戦いに入った。星野は6 列目イン側のグリッドから、ピット側に進路を取りジャンプアップを狙う。し かし外側からリース選手に押えられ、12位でレースを開始する。片山も同様 にダニエルソン選手に抑えられ、4位につけた。 星野は10周を過ぎたところでスパート。14周目にリース選手を馬の背コ ーナーでパス、更に16周目には黒沢選手を1コーナーで抜き、10番手まで 順位を上げる。そして、この時点でのファステストラップ1分12秒832を17 周目に記録しながら、前を走るバイドラー選手に迫っていった。だが、21周 目の馬の背コーナーでコースアウト、サンドトラップにつかまって惜しくもリ タイヤを喫することとなった。 序盤、ダニエルソン選手に迫っていた片山だが、徐々に離され今度はシュー マッハ選手の追撃を受ける。必至の抵抗を試みた片山だったが、21周目にシ ューマッハ選手に抜かれ5位にポジションダウン。さらに33周目には中谷選 手に抜かれて順位を落し、結局6位でチェッカーを迎えた。 このレースの結果、片山が1ポイントを加えてシリーズポイント・リーダー の座を守った。星野は惜しくも無得点ではあったが、他の有力選手もリタイヤ したためシリーズ3位を守った。 星野 一義:20周リタイヤ 「スタートに失敗して群れを抜け出すことができなかった。序盤は周囲が混み 合っていて、ペースが上げられなかった。それで、周回数は十分にあったので 慌てずにゆっくりいこうと気持ちを取り直した。皆、後ろのマシンを抑えよう とインフィールドが遅かった。こっちはマシンは本当にいい調子だったから速 かった。自信があったんだ。10周すぎてバラけてきたので、ペースを上げて 突っ走った。10位まで上がって、バイドラー選手に追いついた。それで馬の 背で並んだんだけど、イン側をブロックして来たので、次の周にアウトから仕 掛けた。しかし、アウト側にマシンが流れてしまって、そのままコースを飛び 出してしまった。せっかく調子良かったのに、マシンに悪いことしたよ。チャ ンピオン争いに関しては、ランキング上位の人がポイントをあまりとらなかっ たので、それほど苦しくは感じないよ。富士で出直しだね」 金子 豊監督 「レースが終わったあとでエンジンのデータをチェックしたら、星野の走りも マシンの状態も完璧だったよ。結果はリタイヤで悔しいけれど、マシンに関し てはかえって自信がついた。右京君も含めて、シリーズ上位の選手がポイント をとらなかったのは、王座を防衛するために意味が大きいよ。得意な富士で仕 切り直しだ」 片山 右京: 1時間7分8秒570 6位 「ぼくの好みで、サスペンションを堅めのセッティングにしてもらったんです よ。そうしたら決勝レースのコースコンディションには合わなくて。トラクシ ョンがかからない、うまく曲がらない、ブレーキかけても、うまく動きを吸収 しないから効かない。そんなことしているうちにタイヤを消耗させてブロー状 態になってしまった。自分が情けないです。チャンピオン取るために、次の富 士では気合いを入れて頑張ります」 田中弘監督 「結果に満足しているとは言わないが、納得はしている。タイヤはSUGOの テストで232周走り込んだデータをもとに、ミディアムソフトを使った。こ の選択にはまったく迷いはなかった。確かにこういうコースとコンディション ではまだ右京の走りは未完成だ。予選のようにわずかな周回だけを速く走るだ けなら、いくらでも速く走れる。でも、今の日本のレースの勝敗はそんなこと では決まらない。いかにタイヤに負担をかけないか、高次元でどれだけマシン の性能を引き出してやるか、ということがポイントなんです。そこのところに まだ右京に走りを改善する余地がある。けれど、今日は6位で1ポイントを上 げたのだから、納得はできるということです。次の富士は、T90に有利なサ ーキットだから、やりますよ」 **CABIN Racing Team Office/寺倉茂雄**