全日本F3000

F3000:CABINミリオンカップ2&4鈴鹿リリース

<<<< CABIN Racing Team Press Release ==================================
1991年全日本F3000選手権                 1991年3月6日
RACE INFORMATION                   キャビン・レーシングチーム事務局
      第1戦「ミリオンカードカップレース2&4鈴鹿」
            幸運を引き寄せた快走
           片山、初ポール、初優勝
         星野一義 予選A組4位 決勝リタイヤ
         片山右京 予選A組1位 決勝優勝
 腕を高く上げて、片山右京はコントロールラインを通過した。F3000レース
参戦26戦目にして、初めての優勝であった。何度か腕を上げながら右京は初
めてのウィニングランに入る。しかし、彼の乗ったCABIN T90/DFV
は、ヘアピンコーナーを過ぎたあたりでゆっくりと止まった。駆動系のトラブ
ルだった。「もし半周、早かったら....」チームスタッフが安堵の胸をなでお
ろす。実力ばかりではなく幸運も、右京は自分の味方に引き入れていたのだ。
キャビン・レーシングチームは星野一義が勝った1988、1989、1990年に続き、
開幕戦4連勝を飾った。
 1991年全日本F3000選手権・開幕戦「ミリオンカードカップレース2&4鈴
鹿」が、3月2日(土)3日(日)、三重県・鈴鹿サーキットで開催された。
キャビン・レーシングチームは、このレースに星野一義、片山右京の陣容で参
戦した。
<体制>
 キャビン・レーシングチームwithインパル
  ドライバー:星野一義
  監督   :金子 豊
  マシン  :ローラT91-50/無限(Tカー ローラT90-50/無限)
 キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
  ドライバー:片山右京
  監督   :田中 弘
  マシン  :ローラT90-50/DFV(Tカー レイナード89D/DFV)
<マシン>
 星野は英国ローラ社製の1991年向けマシン、ローラT91-50を持ち込んだ。
チームでは、シャシー番号4のマシンをいち早く入手、テスト走行を繰り返し
た。テストを通してコクピット周りを星野のドライビングポジションに合わせ
て整形するとともに、サイドポンツーン上部のエンジン用吸気口の形状を変更
している。片山は、1991年用T91-50のデリバリーが遅れたため、昨年のT90-
50を引続き用いる。マシンの仕様には特に変更はない。
<公式予選>
 第1回目の公式予選セッションは、晴天の下、ドライコンディションで行な
われた。星野、片山ともに予選A組からの出走だが、参加台数が増加したため
エントラント間の協議によりA組はさらに2分割された。片山は前半組、星野
は後半組でタイムアタックを行なった。
 片山はこの1回目のセッションに2セットの予選用タイヤを投入する作戦を
とり、2回目のアタックで1分44秒325のコースレコードを記録してセッショ
ンを終えた。
 一方の星野は新しいT91-50にメカニカルトラブルが発生して思い通りの走
行をすることができず、タイムは1分48秒082に留まる。チームは、Tカーで
あるT90-50で2回目の予選を戦うことを決定する。
 2回目のセッション、星野はTカーでタイムアタックにかかり、1分46秒00
5までタイムを短縮して順位をA組4位にまで上げ、予選走行を終えた。
星野一義:1分46秒005 A組4位
「午前中は、トラブルが出てまったくスピードに乗れなかった。ブレーキもフ
ィーリングがよくなかったし、タイムが出せる状態ではなかったんだ。それで、
午後は去年のマシンを使った。こっちはいいフィーリングだった。でも、今日
のコンディションに合わせたセットアップをする時間がなかったから、あれ以
上のタイムは無理だった。こんなこともあるよ。去年の菅生で、予選17位から
3位になったように、後ろから追い上げることにするよ。6台抜けばいいんで
しょう」
片山右京:1分44秒325 A組1位(ポールポジション)
「午前中にタイヤを2セット使ったのは作戦通り。シーズンオフの間に徹底的
に走り込んでいたので自信はあったんです。1セット目は様子を見るつもりで
慎重に走って、2セット目で勝負をかけました。でも、ヘアピンで前のクルマ
にひっかかったのと、ぼく自身ちょっとラインを変えたせいでタイヤを滑らせ
すぎてしまったために、目標だった1分43秒台に入れなかったのが残念です。
午後のセッションで小河さんが猛烈に追い上げてきたので肝を冷やしましたよ。
決勝はスタートしてみなければわからないな。うまくスタートできたら、その
とき考えます」
<決勝レース>
 決勝で片山が見せたスタートは絶妙だった。片山は初めてのポールポジショ
ン(今回から鈴鹿のポールポジションはコース外側となった)から飛び出し、
そのまま加速して2位の小河選手を1コーナーで押え込んだ。
 一方星野は4列目のグリッドからジャンプを狙ってコース内側に進路をとっ
たが、結局順位を上げることはできず、7位で1コーナーを通過した。
 星野は、前をいくダニエルソン選手に激しく攻めかかる。7周目に4位を走
行中のマルティニ選手がスピンして遅れたために星野は6位に進出。さらに順
位を上げるために1分49秒台後半から1分50秒台前半の速いペースでダニエル
ソン選手攻略を続ける。
 ところが10周目の2コーナーでダニエルソン選手が星野の目前でスピン。星
野は外側に避けたものの、そのままコースから飛び出し、サンドトラップを横
切ってタイヤバリアに正面から突っ込んでしまった。マシンは走行不能となり、
星野はここでレースをあきらめざるをえなかった。
 片山は首位を走りながら小河選手の激しい攻撃にさらされていた。とくにコ
ース前半、デグナーに至る部分で、片山はコーナリングに苦しみ、小河選手に
テール トゥ ノーズとなるまで攻め寄られる。しかし、カシオトライアング
ルから直線にかけて片山は松浦DFVのパワーを活かして小河選手を引き離す。
 チェッカーを受ける直前まで、片山は小河選手の執拗なアタックを受けた。
しかし、片山は守りきった。35周のレースを首位のまま走りきって、片山は
最初のチェッカーフラッグを受けたのであった。田中監督を先頭に苦楽をとも
にしたチームの面々がコントロールラインを通過する片山を待ち受け、手を振
ってそれを迎えた。これはまたコスワースDFVエンジンにとっても全日本F
3000シリーズ初優勝となった。
 チェッカーを受けた片山はウィニングランに入ったが、ヘアピンを過ぎてマ
シンをコース脇に止めた。駆動系にトラブルが発生、走行不能に陥ったのだ。
コクピットを降りた片山を、小河選手のマシンが待っていた。片山は争い続け
たライバルである小河選手のマシンのサイドポンツーンに乗って、関係者やフ
ァンの待ち受けるグランドスタンドへと凱旋したのであった。
星野一義:9周 リタイヤ
 「スタートした時点で、優勝は無理かな、と感じていた。でも、新しいマシ
ンなので、ここで走っておけばシーズンのためにはなるだろうと思った。かな
りいいタイムで走れていたしね。このまま頑張れば3位にはなれるだろう、と。
チャンピオンを守るためには、ポイントをとっておきたかったしね。ダニエル
ソン選手のスピンは、しようがないよ。レースなんだし、スピンだってする。
あれは誰の責任でもないよ。今回は、右京君に素直におめでとうと言おう。で
も、次はこんなに簡単に勝たせるつもりはないよ」
金子 豊監督
 「トラブルが解決したので、T91で決勝を戦うことにした。データを蓄積
することにもつながるしね。新しい体制での初めてのレースだったけれど、チ
ームもよく働いてくれたと思っているよ。アクシデントさえなければ、いいと
ころまでいけたはずだ。同じCABINとはいってもレースとなれば右京はラ
イバルだからね。次のレースでは必ず勝ってみせるよ」
片山右京選手: 1時間3分33秒365 優勝
        ファステストラップ 1分47秒195 34周目
 「ひとこと、本当に嬉しい! でもレース中は小河さんがピッタリつけてく
るので、大変なプレッシャーでしたよ。終盤、130Rで周回遅れの松田さん
がいて、抜こうとしたんだけど、松田さん、気づいてなかったみたいでコース
を開けてくれなかったんですよ。それで手を上げたの。怒って手を上げたんじ
ゃないですよ。気がついてくれたかな、と思って合図したつもりだったんです。
そうしたら、松田さんのヘルメットが動いて、バックミラーを見たのがわかっ
たから、シケインで抜いた。同じDFVユーザーなんだから、ぼくが抜いたあ
とで小河さんをブロックしてくれればいいなー、って正直思いましたよ。して
くれませんでしたけどね。それだけ辛かった。でも、苦しかったけれど冷静な
ところは冷静でした。ビビリながら落ちついていたって感じですね。15、6
周目からギヤがゴロゴロ音を立てていたんで、心配は心配だったんですけど、
最後のラップでヘアピンを立ち上がったところで走れなくなっちゃった。ラッ
キーでしたよねえ」
田中 弘監督
 「ついていたなあ。こういう幸運があるんだから、今年は右京の年だってこ
とだよ。スタートするときは、もし小河選手に抜かれても必ず抜き返せるから
慌てないで様子をみろ、と言って送りだした。ウォームアップが終わった時点
で右京の注文を聞いてアンダー気味のセッティングに変えた。それで、決勝で
はコーナリングが苦しくなったんだ。小河選手は逆にウォームアップのときよ
りも良くなっていたからね。あれは右京の注文を聞きすぎて失敗したな。この
調子なら、立て続けに3つ、いけるかもしれないよ。今年の目標は、チャンプ
奪取以外にはない」
資料提供:キャビン・レーシングチーム事務局


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース