Formula Nippon

FN:第4戦富士決勝 難しいコンディションの中、塚越広大選手が9位完走を果たす (HONDA)

  • 2012年7月15日(日)・決勝  会場:富士スピードウェイ(4.563km)  決勝レース:55周(250.965km) 天候:曇りときどき雨  気温:25℃(14:00時点)  路面温度:30℃(14:00時点) コースコンディション:ドライのちセミウエット   観客:1万7700人(主催者発表)

 7月15日(日)、静岡県・富士スピードウェイにおいて、2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦の決勝レースが開催されました。

 雨が降る可能性は低いとの天気予報とは裏腹に、富士スピードウェイのある小山町は今日も降ったり止んだりのはっきりしない空模様となりました。これにともない、路面コンディションはドライからウエットへ、ウエットからドライへと、何度となく移り変わり、各チームとドライバーを悩ませました。

fn120715001L.jpg  昨日、行われた公式予選では、前戦オートポリスで初優勝を遂げ、現在ポイントリーダーに立つ#41 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がHonda勢のトップとなる3番グリッドを獲得。さらに、フォーミュラ・ニッポンにデビューして2年目の#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)が公式予選で自身初のQ3進出を果たし、7番グリッドを手に入れました。続いて、#16 山本尚貴選手(TEAM 無限)は10番グリッド、#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)は13番グリッド、#10 金石年弘選手(HP REAL RACING)は15番グリッド、スポット参戦の#11 中山友貴選手(HP REAL RACING)は16番グリッド、そしてQ1でスピンを喫してラップタイムを記録できなかった#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は18番グリッドから、それぞれ55周の決勝レースに挑むことになりました。

 スタート進行が始まった午後1時過ぎ、コースはいったんすっかり乾きましたが、時折り雨がぱらつく空模様は相変わらずで、そのたびにコースの一部が湿りました。ただし、スタートが切られる午後2時が近づいても、コースの大半が乾いていたため、18台中17台がドライ用のスリックタイヤで決勝レースに臨みました。

 午後2時、1周のフォーメーションラップに続いて決勝レースのスタートが切られました。3番グリッドの#41 塚越選手はスタートのタイミングがあわずに出遅れて6番手に後退。逆に#16 山本選手は2つポジションを上げ8番手で1周目のホームストレートを通過しました。以下、オープニングラップが終わった段階で、#32 小暮選手は10番手、#31 中嶋選手は11番手、#10 金石選手は13番手、#40 伊沢選手は14番手、#11 中山選手は16番手となっていました。

 2周目から3周目にかけて、#41 塚越選手と#16 山本選手はそれぞれ7番手と9番手にポジションを下げます。この段階で上位陣は1分30秒前後で周回を重ねていました。

 そのあと、5周目前後から軽い雨が降り始めます。序盤は、まだ路面を濡らすほどの雨脚ではなかったのですが、そのあとも小雨が降り続き、路面はハーフウエット状態に変化してスリックタイヤで走行するのが困難な状況となってきました。しかし、今にも雨は止みそうな空模様だったため、各チームはすぐにタイヤを交換する作戦を採らず、各ドライバーはウエット路面をスリックタイヤのままで我慢の走行を続けました。このため、#31 中嶋選手や#11 中山選手は軽いコースオフを喫しましたが、マシンにダメージを与えることもなく、そのまま周回を続けていきました。

 その中でも、予選でのミスによって最後尾グリッドからの追い上げとなった#40 伊沢選手は、前半から積極的に追い上げを試み、15周目には10番手まで浮上しました。続く16周目には#16 山本選手をパスし、9番手へと駒を進めます。そして、#41 塚越選手は引き続き7番手を走行。#16 山本選手は10番手、#31 中嶋選手は11番手、#32 小暮選手は13番手、#10 金石選手は14番手、#11 中山選手は17番手につけました。

 雨脚が強まったのは25周目を迎えたころ。このとき、ホームストレートでは時折り晴れ間が見られるものの、最終セクター付近では軽い水煙が上がるほどコースが濡れるなど、場所によってコンディションが異なる状況でした。一方で、レースの折り返し地点が迫っていたために、ピットストップのタイミングも近く、各チームはレインタイヤに履き替えるか、スリックタイヤで継続するかで頭を悩ませていました。

 ここでいち早くピットストップを行ったのは#16 山本選手と#32 小暮選手。2人は27周目にピットに入ると、給油とレインタイヤへの交換を済ませてコースへと復帰していきます。この時点でのコースコンディションからすれば、2人の判断は的を射たものでした。また、29周目には#41 塚越選手もこれに続き、レインタイヤへの交換を行いました。

 ところが、期待されたほど雨が降り続くことはなく、一時は1分46秒台まで落ち込んだラップタイムは37周目に1分40秒前後まで回復。このまま雨脚が強くならなければ、スリックタイヤのまま走行した方がむしろ有利な状況となりました。そこで、38周目にピットインした#10 金石選手と#31 中嶋選手はいずれもスリックタイヤのままコースに復帰。39周目には#11 中山選手、41周目には#40 伊沢選手がピットストップを行いましたが、いずれもスリックタイヤのまま走り続ける作戦を採りました。

 全車がピットストップを終えた43周目の段階で、Honda勢のトップは5番手を走行する#41 塚越選手。そしてレース前半に好タイムをマークしていた#32 小暮選手は8番手まで浮上し、#16 山本選手は9番手、#40 伊沢選手は11番手、#31 中嶋選手は13番手、#11 中山選手は15番手となって、レース終盤の追い上げを期していました。一方、#10 金石選手はパドルシフト系に問題を抱えたためにピットで修復作業を実施。この影響で17番手となっていました。

 レース終盤に向けてさらにコースコンディションは回復。このため、レインタイヤで走行を続ける#41 塚越選手はじわじわと後退し、結果的に9位となってチェッカーフラッグを受けました。#32 小暮選手は10位、#31 中嶋選手は11位、#16 山本選手は12位、49周目にスピンを喫した#40 伊沢選手は13位、スポット参戦でフォーミュラ・ニッポンのデビューレースとなった#11 中山選手は15位で完走を果たしました。#10 金石選手はピットでの修復作業が長引いた関係で規定周回数を満たすことができず、残念ながら完走扱いとはなりませんでした。

 優勝は#1 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM’S)でした。

 この結果、ドライバーのシリーズポイント争いでは#41 塚越選手が通算23点で3番手となり、さらに#40 伊沢選手は17点で5番手、#16 山本選手は4点で9番手となりました。

 フォーミュラ・ニッポン第5戦は8月4、5日に栃木県・ツインリンクもてぎで開催されます。

坂井典次(Tenji Sakai)|「HR12E」開発責任者
 「今回は、空力を研究して車体性能やブレーキング性能を上げてきましたが、攻めすぎた部分もあり、ドライバーの感覚に合致させるためにはもう少し時間が必要だと感じました。また、ピットストップでのタイヤ交換も、天候を読むという部分で裏目に出てしまった側面があります。ただし、今後に向けて期待のできる材料も見つかっているので、これをうまく生かして次戦につなげていきたいと思います」
塚越広大選手(9位 #41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 「まず、スタートで失敗して順位を落としてしまいました。そのあと、天候が荒れ、トップと同じ作戦では勝つのが難しいと考えられたので、早めにピットストップを行いましたが、結果的には自分たちの期待していた天候にはなりませんでした。今回は、いくつか反省点がある一方で、自分たちができることはしっかりやったという思いもあります。次戦のもてぎでは、今回の反省点を念頭に置き、しっかりとポイントが稼げるようにがんばりたいと思います」
小暮卓史選手(10位 #32 NAKAJIMA RACING)
 「苦しいレースで、順位も10位と振るいませんでした。ただし、サスペンションの前後バランスについては一歩前進したという手応えがありました。次のもてぎに向けては、今回のデータを元にしてセッティングを見直し、ベストを尽くしたいと考えています」
Text & Photo: HONDA


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