Formula Nippon

フォーミュラニッポン レースレポート

シリーズ名:全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
大会名:第2戦・美祢
距離: 3.239km×62周
予選:5月16日 雨のち曇り・観衆:1万2300人(主催者発表)
決勝:5月17日 晴れ      ・観衆:4万4700人(  同  )

トム・コロネル選手、参戦2戦目にして1ポイントをゲット!
序盤戦で猛チャージを見せた山西康司選手も7位で完走

 4月の鈴鹿で開幕した98年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(略称:FN)の
第2ラウンドは、本州最西端の美祢サーキットが舞台。今年がFN2シーズン目とな
る山西康司選手に加えて、97年全日本F3タイトルを手土産に今シーズンからFNに
ステップアップしてきたトム・コロネル選手。2人の有望な若手ドライバーを擁する
PIAA NAKAJIMA RACINGにとって、期待の高まる1戦となった。
というのも、この美祢サーキットでは、この数年に渡って外国人ドライバーが優勝を
飾っていたから。実際、コロネル選手は5月初めに、この美祢サーキットと性格の似
たツインリンクもてぎで行われたFNの第3回公式走行会でもトップタイムをマーク
するなど気合も充分だった。もちろん、エースナンバーの64号車を駆る山西選手も、
4回のセッションを通じて安定した好タイムをマークしていたから、チーム全員が大
きな期待を持って臨むことになった。
 予選日の16日は朝から大雨に見舞われた。シーズンオフのテストや公式走行会で好
タイムをマークしているものの、雨のテストでは、今ひとつタイムに伸び悩んでいる
だけに、チームとしても出端を挫かれた恰好となった。午前中の公式練習では“足慣
らし”程度に走行してセッティングを確認、午後の公式予選に臨むことになった。し
かし午後になって雨足が弱まったこともあって、レインコンディションには変わりな
いものの、公式練習に比べると若干、路面は良くなっていた。しかし、これが悪い方
向にはたらき、2人のドライバーはバランスの崩れたマシンと格闘する羽目になり、
山西選手が13莫ョ黶Aコロネル選手に至っては何と16番手にまで低迷することになった。
唯一の期待は天候の好転。天気予報では決勝レースの行われる日曜日は、朝から晴れ、
との予報が出ていたから、ドライバー、チームスタッフともどもドライレースを祈り
つつ、土曜日は眠りに着くこととなった。
 明けて日曜日は予想どおりの好天に恵まれた。雲ひとつない快晴、とはいかなかっ
たが、コースは完全にドライコンディション。むしろ路面温度が上昇し過ぎないだけ、
レースには絶好のコンディションと言える。ここまで、ドライコンディションではト
ップレベルのタイムをマークし続けて来ただけに、2人のドライバーの顔色も、一気
に晴れ上がった。朝一番に行われたフリー走行では、山西選手が1分16秒台の好タイ
ムで3番手につけ、決勝での上位入賞も期待させることになった。一方のコロネル選
手はドライコンディションに合わせたセッティングへのコンバートが、今ひとつだっ
たのか、山西選手からは1秒遅れのタイムに止まった。しかし、考えてみれば、いく
ら全日本F3チャンピオンと言えども、国内トップフォーミュラであるFNでは、ま
だ2戦目のルーキーだけに、大きすぎる期待は酷かもしれない。午後の決勝レースに
向けて、山西選手のマシンに倣って、さらなるファインセットを追求したのは言うま
でもない。また、このフリー走行で山西選手がコースオフした際に、少しエンジンを
オーバーヒートさせた可能性もあり、こちらはエンジン換装。メカニックにとっては
息つく暇もないインターバルとなった。
 午後2時に一旦はスタートが切られたものの、グリッド前方の2台がエンジンス
トールさせたことが引き金となってアクシデントが発生。再スタートが切られること
になった。幸いなことに、山西選手もコロネル選手も、グリッド上で止まってしまっ
たマシンを巧みにかわしていたから、マシンには何らダメージはなかった。しかし、
ドライバーにとっては精神的にハードだったはずだが、2人のドライバーは、2回目
のスタートもそつなくこなして、オープニングラップをおえた時点では山西選手が7
番手、コロネル選手が11番手間でジャンプアップしていたのは流石だ。2人ともに1
分20秒台から19秒台、18秒台とペースをアップしていき、上位陣の脱落もあって6周
目には山西選手が6位とポイントゲット圏内に進出、コロネル選手も8番手までポジ
ションを上げていた。
 山西選手は、その後も17秒台中盤のペースで安定して周回を重ねていったが、パッ
シングポイントの少ないコースレイアウトだけに、なかなか前のマシンをパスできな
いまま、6位で走行を続けていた。一方のコロネル選手は、山西選手よりもさらに速
いペースで周回を重ね、毎周のように自己のベストラップを書き換えていき、10周目
には1分17秒170 と、その時点でのベストラップを叩き出し、さらに次の周には17秒
134 まで短縮していった。しかし、彼らのパフォーマンスもレースの3分の1を過ぎ
た辺りから鈍ってきた。どうやら燃料タンクが満タンに近いときには、マシンのバラ
ンスはまずまずのようだったが、燃料が消費されて軽くなってくると微妙に崩れてき
たようだ。コロネル選手の方はレースが後半戦に入るころまで何とか17秒台をキープ
できたものの、山西選手は20周を過ぎた辺りからペースが落ちてしまった。それまで
6番手をキープしていた山西選手だったが、21周目には1台にパスされて7番手に後
退、29周目にはコロネル選手にもかわされてしまったのだ。その後、上位陣の脱落も
あって、コロネル選手が6番手でチェッカー、初の1ポイントをゲット。山西選手が
7位で続いた。2人のドライバーにとっては、不満の残る内容となったが、その悔し
さは、次回の富士ラウンドで晴らすしかない。


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